フリル付きブラウス事件

裁判所 東京地裁
判決日 2018年07月30日
事件名 フリル付きブラウス事件
キーワード 不競法形態模倣
着目点 原被告各商品は、需要者の着目するフリル袖の部分に違いがあるので、被告各商品の形態は,原告各商品の形態と実質的に同一であると認めることはできないと判断した例
事件番号 平成29年(ワ)30499号
判決のポイント

争 点

被告商品は原告商品の形態を模倣した商品であるか

裁判所の判断

上記イのとおり,原告各商品は,裾に向かって若干広がったノースリーブブラウスにフリル袖を縫い付けたブラウスであるが,ノースリーブブラウスの部分には特徴的な点はないから,原告各商品のうち,特徴的であり需要者の目を引く部分は,フリル袖であるといえる。

そこで,袖について検討すると,原告各商品と被告各商品は,いずれもノースリーブに縫い付けられフリルを設けたものである点で共通するものの,上記相違点①のとおり,フリル袖の広がり及びフリルのボリュームの相違という袖形状の相違は,袖全体の形状であり着用時も含めて需要者の印象を大きく左右するものであるから,その相違の程度が些細なものであるとはいえず,形態の全体的な印象に影響を及ぼすものといえる。また,原告各商品と被告各商品には,黒いリボンの有無という相違がある。

原告各商品の黒いリボンは,正面から見たときに見える部分に付されており,袖の長さからはみ出す長さであるから,ブラウスの装飾として存在感があり,フェミニンさを強調するものである。さらに,地色が淡い原告商品3(オフホワイト色)及び原告商品4(白地に黒のギンガムチェック)においては,黒いリボンの存在は更に印象的である。したがって,リボンの有無は,全体的な印象を左右するものであるといえる。

以上によれば,需要者の着目するフリル袖の部分に上記相違(相違点①)があるから,商品全体の形態として対比した場合に,原告各商品と被告各商品が全体として酷似しているということはできない。よって,被告各商品の形態は,原告各商品の形態と実質的に同一であると認めることはできず,これに反する原告の主張はいずれも採用できない。

 

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