ベッド操作装置事件

裁判所 知財高裁
判決日 2019年10月02日
事件名 ベッド操作装置事件
キーワード 新規性
着目点 引用発明の構成が、引用例の課題に基づいて限定的に把握されるべきか。
事件番号 平成30年(行ケ)10161号
判決のポイント

争 点

引用発明の認定

 

裁判所の判断

b 原告は,引用発明が解決すべき課題(【0007】)が,「リモコンのキー上に物が誤って置かれ,ボタンが押された状態になった場合,このときに電源が投入され」たときの安全性の確保にあり,引用例に記載された発明の把握はこの課題に沿ってすべきであるとも主張する。

しかしながら,【0008】,【0011】及び同別紙の図1のフローチャートの記載によれば,引用例に「電源を投入した後にリモコン6の任意のキー6aが押されたかを確認する(STEP1)」ことが記載されていることは明らかである。

また,【0007】の「従来のアクチュエータの制御方法において,例えばリモコンのキー上に物が誤って置かれ,ボタンが押された状態になった場合,このときに電源が投入されると,アクチュエータが作動する。この結果,ベッド等,アクチュエータによって稼働されている装置に人や物が挟まれる等の危険性が生じる。すなわち,安全上,問題が生じる。」との記載に接した当業者であれば,電源投入前にリモコンのキー上に物が誤って置かれている場合に限らず,電源投入後にリモコンのキー上に物が誤って置かれた場合にも「ベッド等,アクチュエータによって稼働されている装置に人や物が挟まれる等の危険性が生じる」ことを理解し,その点も見据えて,「課題を解決するための手段」を見い出そうとするものと認められる。

そうすると,【0007】の記載をもって,引用例には「電源を投入した後に,リモコンの任意のキー6aが押されたか確認する(STEP1)」ことが記載されていないということはできず,原告の上記主張も理由がない。

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