ホームズくん事件

裁判所 知財高裁
判決日 2021年06月29日
事件名 ホームズくん事件
キーワード 商標類否判断
着目点 対象商標から原告キャラクタや原告による各種不動産情報の提供の役務という観念が生じると主張したが、認められなかった例
事件番号 令和2年(行ケ)10088号
判決のポイント

                     

対象商標 原告キャラクタ

 

引用商標

争 点

商標の類否(本件商標の外観・観念・称呼)

 

裁判所の判断

⑵ 原告の主張について

原告は,①原告キャラクターと本願商標との密接不可分的なつながり,②原告キャラクター及び原告ウェブサイトの周知著名性,③不動産業界の取引の実情を考慮すると,本願商標からは,原告キャラクターの観念,さらには原告による各種不動産情報の提供の役務という観念が生じる旨主張する。この主張は,取引の実情を考慮すると,本願商標から,上記の各観念が生じると主張しているものと解される。

しかしながら,証拠(甲34~39,41)によれば,原告が,原告キャラクターを利用した宣伝広告活動や営業活動を展開しており,原告キャラク ターやその愛称である「ホームズくん」がそれなりの知名度を有するに至っていることは認められるものの,他方で,参加人も,引用商標1やそれに類似した標章,「ホームズ君」という名称等を利用して宣伝広告活動や営業活動を行っており,相応の知名度を得るに至っていること(丙20~323)等の事情に照らしてみると,本願商標の指定役務に係る取引分野において,「ホームズくん」といえば原告キャラクター,ひいては原告の営業を表すと取引者,需要者の誰もが理解するといえるほどの一般的,普遍的な観念が成立するに至っているとまで認めることはできない。そして,単に,原告が「ホームズくん」という愛称の原告キャラクターを利用しており,それが,一定程度の知名度を有しているという程度のことであれば,それは,せいぜい本願商標に係る個別的な事情であるにとどまり,取引の実情として考慮することが許される,指定商品・役務全般についての一般的・恒常的事情(最高 裁昭和47年(行ツ)第33号同49年4月25日第一小法廷判決・審決取消 訴訟判決集昭和49年443頁参照)には当たらない。

したがって,原告の上記主張は,採用することができない。

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