情報処理装置事件

裁判所 知財高裁
判決日 2022年02月10日
事件名 情報処理装置事件
キーワード 進歩性要旨認定
着目点 サブコンビネーション発明について、他の装置に関する事項を除外して発明の要旨を認定した例
事件番号 令和3年(行ケ)10056号
判決のポイント

争点

本件補正後発明の認定の誤り

裁判所の判断

(総論)

ところで,サブコンビネーション発明においては,特許請求の範囲の請求項中に記載された「他の装置」に関する事項が,形状,構造,構成要素,組成,作用,機能,性質,特性,行為又は動作,用途等(以下「構造,機能等」という。)の観点から当該請求項に係る発明の特定にどのような意味を 有するかを把握して当該発明の要旨を認定する必要があるところ,「他の装置」に関する事項が当該「他の装置」のみを特定する事項であって,当該請求項に係る発明の構造,機能等を何ら特定してない場合は,「他の装置」に関する事項は,当該請求項に係る発明を特定するために意味を有しないことになるから,これを除外して当該請求項に係る発明の要旨を認定することが相当であるというべきである。

 

(各論:一例として構成要件Cのみ)

本件補正後発明の構成要件(C)及び(C1)ないし(C7)は,情報処理装置から知的財産権に関する公報の情報(第1情報)の通知(送信)を受けた サーバが,第1情報から第2情報を抽出し,さらに第3情報を抽出し,第3情報と第4情報とから通知対象を決定して当該公報の情報を第5情報として通知対象者の端末に通知し,その後,通知対象者の端末から第6情報を受信し第7情報を生成して情報処理装置に送信するという,サーバが行う処理を特定したものであって,情報処理装置が行う処理を特定するものではない。 すなわち,情報処理装置から通知された情報に対して,どのような処理を行い,どのような情報を生成して情報処理装置に送信するかという処理は,サーバが独自に行う処理であって,情報処理装置が行う処理に影響を及ぼすものではない。 

一方,情報処理装置は,第1情報をサーバに送信し,第7情報をサーバから受信するものであるところ,かかる情報処置装置の機能は,サーバに所定の情報を送信してサーバから所定の情報を受信するという機能に留まり,当該機能は,上記構成要件(C)及び(C1)ないし(C7)によって影響を受けたり制約されるものではない。このように,構成要件(C)及び(C1)ないし(C7)は,情報処理装置の機能,作用を何ら特定するものではない。 

 よって,本件補正後発明の認定に当たっては,構成要件(C)及び(C1)ないし(C7)を発明特定事項とはみなさずに本件補正後発明の要旨を認定すべきであり,これと同旨の本件審決に誤りはない。

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