COVERDERM事件

裁判所 知財高裁
判決日 2017年11月29日
事件名 COVERDERM事件
キーワード 商標不使用取消
着目点 ウェブサイトにおいて、日本の需要者に向けて原告の商品に関する広告及び当該商品の注文フォームに本件商標を付して電磁的方法により提供していた、と判断した例
事件番号 平成29年(行ケ)10071号
判決のポイント

争 点

 商標法50条1項該当性(登録商標の使用の有無)

裁判所の判断(抜粋)

(1) 原告は,平成23年11月23日,冒頭に「Coverderm Product Order Form」と付した本件ウェブサイトにおいて,本件商標及び日本語でこれを仮名書きした「カバーダーム」という名称を表題に付して,「カバーダームは最先端のスキンケア化粧品の専門ブランドです。」,「輝かしい歴史を誇り,さらに成長を続ける製品ラインナップを,長年にわたり80ヶ国以上の国々にお届けしています。」,・・・という文章を掲載した。

 そして,原告は,その下に「下記の空欄に必要事項をご記入のうえ,ご注文ください。」という文章を掲載した上,名,姓,住所,製品名,数量,メールアドレス,コメントの記入欄と送信ボタンを設けるなどして,原告の商品をインターネットで注文できるように設定するとともに,その下に「弊社製品に関する詳しい説明はこちらをクリックしてください。」という文章を掲載し,COVERDERMの商品の紹介ページにリンクさせていた。・・・

2 商標法50条1項該当性

 上記認定事実によれば,原告は,少なくとも本件要証期間内である平成23年11月23日に,本件ウェブサイトにおいて,日本の需要者に向けて原告の「COVERDERM」の商品に関する広告及び当該商品の注文フォームに本件商標を付して電磁的方法により提供していたことが認められる。

 したがって,原告は,本件商標について,少なくとも本件要証期間内に日本国内で商標法2条3項8号にいう使用をしたものといえる・・・。

3 被告の主張について

 被告は,本件ウェブサイトは日本語で作成されているものの,リンク先とされるCOVERDERMの商品の紹介ページは原告の英語ウェブサイトであり,商品の発送方法や代金の支払等について何ら記載がないのであるから,本件ウェブサイトが日本の需要者を対象とした注文サイトとして機能しているかどうかは疑わしく,仮に,本件ウェブサイトにおける本件商標が広告として機能されることがあるとしても,日本の需要者の目に触れることのない状況において,本件ウェブサイトは形式的にインターネット上にアップされているにすぎず,正当な商標の使用とはいえないなどと主張する。

 しかしながら,前記1の認定事実によれば,本件ウェブサイトは,日本語で本件商標に関するブランドの歴史,実績等を紹介するとともに,注文フォーム及び送信ボタンまで日本語で記載されているのであるから,リンク先の商品の紹介が英語で記載されているという事情を考慮しても,本件ウェブサイトが日本の需要者を対象とした注文サイトであることは明らかである。・・・少なくとも,原告は,本件商標について本件要証期間内に日本国内で商標法2条3項8号にいう使用をしたものと認められる。

 また,証拠(甲63の1ないし3)によれば,グーグルで検索する場合において,検索キーワードを「カバーダーム」,「COVERDERM 化粧品」としたとき及び日本語のページを検索するように設定した上で検索キーワードを「COVERDERM」としたときは,本件ウェブサイトのリンク及び本件ウェブサイトの説明が表示されるものと認められるから,本件ウェブサイトは形式的にインターネット上にアップされているとはいえず,被告の主張は,その前提を欠くものである。

TOP