Re就活事件

裁判所 大阪地裁
判決日 2021年01月12日
事件名 Re就活事件
キーワード 商標類否判断
着目点 インターネット検索では、称呼の類似性の影響が大きいとされた
事件番号 平成30年(ワ)11672号
判決のポイント

争 点

本件商標と被告標章の類否

※本件商標は「Re就活」、被告標章は「リシュ活」

裁判所の判断

しかしながら,求職者についてみると,前記認定のとおり,本件商標に係る役務も被告役務も,利用のための会員登録は簡易であり,無料で利用できる上,証拠(乙13,18ないし27,34。各枝番を含む。)によれば,多数の他の求人情報ウェブサイトでも会員登録無料をうたっており,気軽に利用できるように簡単に会員登録ができることを宣伝しているところ,情報を得て就職先の選択肢を広げる意味で複数のサイトに会員登録する動機がある一方で,複数のサイトに会員登録することに何らの制約もなく,現実に多数の大学生が複数の就職情報サイトに登録していることが認められる。そうすると,求職者については,必ずしも役務内容を事前に精査して比較検討するのではなく,会員登録が無料で簡易であるため,役務の名称を見てとりあえず会員登録してみることがあるものと考えられる。

そして,本件商標も被告標章1も短く平易な文字列であり,発音も容易であること,本件商標に係る役務や被告役務はインターネット上で提供されているところ,インターネット上のウェブサイトやアプリケーションにアクセスする方法としては,検索エンジン等を利用した文字列による検索が一般的であり,正確な表記ではなく,称呼に基づくひらがなやカタカナでの検索も一般に行われており,ウェブサイトや検索エンジン側においてもあいまいな表記による検索にも対応できるようにしていることが広く知られていることからすれば,需要者である求職者は,外観よりも称呼をより強く記憶し,称呼によって役務の利用に至ることが多いものというべきである。

そうすると,求職者が需要者に含まれるという取引の実情にかんがみれば,需要者に与える印象や記憶においては,本件商標と被告標章1とでは,前記外観の差異よりも,称呼の類似性の影響が大きく,被告標章1は特定の観念を生じず,観念の点から称呼の類似性の影響を覆すほどの印象を受けるものではないから,前述のとおり必ずしも事前に精査の上会員登録するわけではない学生等の求職者において,被告標章1を本件商標に係る役務の名称と誤認混同したり,本件商標に係る役務と被告役務とが,同一の主体により提供されるものと誤信するおそれがあると認められる。

TOP