情報管理方法事件

裁判所 知財高裁
判決日 2020年03月11日
事件名 情報管理方法事件
キーワード 新規性
着目点 「一定期間」の始期について、広告が検索エンジンに送信されたときか、ユーザ端末に表示されたときかが争われた。
事件番号 令和元年(行ケ)10109号
判決のポイント

争 点

固有の電話番号が再利用のために「電話番号のプール」に戻されるまでの期間の始期である「表示されてからある一定期間」にいう「表示されてから」は,ユーザ端末等に表示されたときを意味し,「固有の電話番号が挿入された広告を要求パートナーの検索エンジンに送信」されたときを意味しないか。

 

裁判所の判断

そして,上記第2,4(2)イの構成要件(c)のとおり,甲1発明の要求パートナーの検索エンジンは,「検索要求に対する検索結果内に,システムから送信された『固有の電話番号が挿入された広告』を表示する」ものであり,構成要件(b),(c)のとおり,要求パートナーの検索エンジンのウェブサイト等に情報を提示することは,システムが「固有の電話番号が挿入された広告」を当該要求パートナーへ送信することにより行われるのであるから,甲1発明において「表示」というときに,システムが,「固有の電話番号が挿入された広告」を,要求パートナーのウェブサイトに提示させるために送出するという意味をも含むと理解することができる。また,構成要件(d)の「表示されたことを記録し」についても,システムが,「固有の電話番号が挿入された広告」を要求パートナーのウェブサイトに提示させるために送出したことを含むと理解することができる。

・・・

かえって,甲1発明において,「表示」をユーザ端末等に電話番号が表示された時点と解すると,通信エラー等で電話番号が送出されたがユーザ端末等に表示されなかった場合には,「一定期間」が進行しないことになり,甲1発明の上記の課題が解決されないことになる。

したがって,原告の上記主張を採用することはできず,甲1発明において,固有の電話番号が再利用のために「電話番号のプール」に戻されるまでの期間の始期である「表示されてからある一定期間」にいう「表示されてから」は,「固有の電話番号が挿入された広告が要求パートナーの検索エンジンに送出」されたときを含むものと解することができる。

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