ミズノ事件
裁判所 | 知財高裁 |
---|---|
判決日 | 2017年09月13日 |
事件名 | ミズノ事件 |
キーワード | |
着目点 | 全体的な構図が比較的高い類似性を示す商標(直接対比した場合の視覚的印象が別異)について、混同を生じるおそれがあると判断された例 |
事件番号 | 平成28年(行ケ)10262号 |
判決のポイント
争点
本件商標は、引用された著名商標との間で混同を生じるおそれがあるか。
裁判所の判断(抜粋)
(2)本件商標と引用商標との対比
イ 本件商標と引用商標との異同
審決が認定したとおり,本件商標と引用商標とは,・・・以上のような差異,特に,2)図形の内部における白抜きの逆三角形部分の有無を考慮すると,本件商標と引用商標とを直接対比した場合の視覚的印象は別異のものということもできる。
しかしながら,本件商標及び引用商標の全体的な構図をみると,・・・本件商標の全体的な配置や輪郭等については,引用商標(特に上側部分)と比較的高い類似性を示すものであるということができる。
(6)混同を生ずるおそれについて
本件商標と引用商標は,全体的な構図として,配置や輪郭等の基本的構成を共通にするものであり,本件商標が使用される商品である被服等の商品の主たる需要者が,商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者を含む一般の消費者であり,商品の購入に際して払われる注意力はさほど高いものとはいえないことなどの実情や,引用商標が我が国において高い周知著名性を有していることなどを考慮すると,本件商標が,特にその指定商品にワンポイントマークとして使用された場合などには,これに接した需要者(一般消費者)は,それが引用商標と全体的な配置や輪郭等が類似する図形であることに着目し,本件商標における細部の形状(内側における差異等)などの差異に気付かないおそれがあるといい得る。
また,引用商標は,スポーツ用品(運動用具)関連の商品分野において,原告の商品を表示するものとして,需要者の間において著名であるところ,本件商標の指定商品には,引用商標の著名性が需要者に認識されているスポーツ用品(運動用具)関連の商品を含むものであるから,本件商標をその指定商品に使用した場合には,これに接する需要者は,著名商標である引用商標を連想,想起して,当該商品が原告又は原告との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがあるものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法4条1項15号に該当するものとして商標登録を受けることができないというべきであるから,これと異なり,本件商標が同号に該当しないとした審決の判断には誤りがあるといわざるを得ない。