スキンケア用化粧料

裁判所 知財高裁
判決日 2017年10月25日
事件名 スキンケア用化粧料
キーワード

>

着目点 ウェブページが公衆の利用可能となった日について判断した例
事件番号 平成29年(行ケ)10092号

判決のポイント

 争点

甲1(ウェブページ)が、本件出願日前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものといえるか。

 

 裁判所の判断(抜粋)

イ 検討

 甲1ウェブページには,前記アのとおり,「以下の商品の全成分リストと類似性があります」との記載に続いて,「アスタリフト エッセンス(フジフイルム)」,「アスタリフト ローション(フジフイルム)」及び「アスタリフト クリーム(フジフイルム)」との商品名が記載されているところ,証拠(乙1の1,2,乙4,5)及び弁論の全趣旨によれば,上記各商品は,いずれも,平成19年7月10日にニュースリリースされ,同年9月12日に発売が開始されたものであること,甲1ウェブページに記載された上記各商品の情報は,「Cosmetic-Info.jp」内に登録された情報(発売された市販品及び公開された成分情報)に基づいて作成されていることが認められる。そうすると,甲1ウェブページには,本件出願日である平成19年6月27日よりも後にニュースリリース及び発売された商品が掲載されていることになるから,甲1ウェブページの「エフ スクエア アイ」の全成分について記載された部分が,甲1ウェブページにより,本件出願日前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものと認めることはできない。

ウ 原告の主張について

(a) 原告は,甲1ウェブページの最下行の記載から,甲1ウェブページが,「Cosmetic-Info.jp」と題するウェブサイトを,インターネットアーカイブのWayback Machineというサービスが複製したウェブページの写しであり,その複製元のウェブページは,久光工房のウェブサイト(乙1の1)における平成19年1月15日に発売された「エフ スクエア アイ」の全成分を表示したページであるから,久光工房によって遅くとも平成19年6月14日までにインターネットに公開されていたものであると主張する。

 しかしながら,甲1ウェブページには,本件出願日より後にニュースリリース及び発売された商品が掲載されており,甲1ウェブページ自体は,本件出願日前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものということはできないのは,前記認定のとおりである。そして,その他,甲1ウェブページの「エフ スクエア アイ」の全成分について記載された部分が,甲1ウェブページ自体が電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったときよりも前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能であったことを推認させるような記載は,甲1ウェブページにはない。そうすると,甲1ウェブページの「エフ スクエア アイ」の全成分について記載された部分が,本件出願日前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものということもできない。

 したがって,原告の上記主張は採用することができない。

(イ)原告は,「えふくん応援します ~お試しコスメ日記~」と題するブログの平成19年1月17日付けの「インフィルトレートセラムってどんなの?」と題する記事(甲58),及び「@COSME」と題するウェブサイトの平成19年1月27日付けのクチコミ(甲59)に,甲1ウェブページと同じく「エフ スクエア アイ」の全成分が掲載されており,また,平成13年薬事法改正により化粧品の全成分表示が義務付けられたため(甲60),「エフ スクエア アイ」の全成分の情報は,その発売日である平成19年1月15日(甲1,2)以降,インターネット上で広く利用可能となっていたといえるから,甲1ウェブページに記載された引用発明1は,本件出願日前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっていたものであると主張する。

 しかしながら,上記各ウェブページ(甲58,59)が本件出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっていたものであったとしても,このことは,上記各ウェブページに記載された内容が本件出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能であったことを示すにとどまるものであり,上記と同内容が甲1ウェブページに記載されていたとしても,甲1ウェブページにおける「エフ スクエア アイ」の成分についての記載部分が,本件出願日前に,甲1ウェブページにより電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものということはできない。

 

*なお、本件特許に基づく侵害訴訟の第一審では,本件審取訴訟の甲1に記載された発明に対する進歩性を否定されて請求が棄却されたが(平成27(ワ)23129)、控訴審では、本件審取訴訟の甲58及び甲59(それぞれ、侵害訴訟控訴審の乙34及び乙35)によって本件特許の進歩性が否定され、控訴棄却となっている(平成28(ネ)10093)。