ワインをパッケージングする方法事件
裁判所 | 東京地裁 |
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判決日 | 2018年04月20日 |
事件名 | ワインをパッケージングする方法事件 |
キーワード | |
着目点 | 組成の限定のない「耐食コーティング」の構成が、「エポキシ樹脂」以外の組成の耐食コーティングの記載がない明細書によってサポートされないと判断された例 |
事件番号 | 平成27年(ワ)21684号 |
判決のポイント
争点
「アルミニウムの内面に耐食コーティングがコーティングされている」は発明の詳細な説明に記載されたものか。
裁判所の判断
ところで,耐食コーティングに用いる材料の種類や成分の違いにより,缶内の飲料に与える影響に大きな差があることは,本件特許の出願日当時,当業者に周知であるということができる(乙34~36)。例えば・・・との記載がある。これによれば,耐食コーティングに用いる材料や成分が,ワイン中の成分と反応してワインの味質等に大きな影響を及ぼすことは,本件特許の出願日当時の技術常識であったということができる。
上記のとおり,耐食コーティングに用いる材料の成分が,ワイン中の成分と反応してワインの味質等に大きな影響を及ぼし得ることに照らすと,本件明細書に記載された「エポキシ樹脂」以外の組成の耐食コーティングについても本件発明の効果を実現できることを具体例等に基づいて当業者が認識し得るように記載することを要するというべきである。
この点,原告は,本件発明の課題は,ワイン中の遊離SO2,塩化物及びスルフェートの含有量を所定値以下にすることにより達成されるのであり,耐食コーティングの種類によりその効果は左右されない旨主張する。
しかし,塗膜組成物の組成を変えることにより塗膜の物性が大きく変動し,缶内の飲料に大きな影響を及ぼすことは周知であり(乙34の第1表,乙35の第2,3表等),ワイン中の遊離SO2,塩化物及びスルフェートの含有量を所定値以下にすれば,コーティングの種類にかかわらず同様の効果を奏すると認めるに足りる証拠はない。