仕様書等各文書使用差止請求控訴事件

裁判所 知財高裁
判決日 2018年01月15日
事件名 仕様書等各文書使用差止請求控訴事件
キーワード

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着目点 被告が本件各文書を取得した時点で、不正開示行為等を疑うべき状況にあったと認めることはできず、被告に不競法2条1項8号所定の重大な過失は認められないとして、原告の請求を棄却した一審審決が、支持された事例
事件番号 平成29年(ネ)10076号

判決のポイント

争 点

被控訴人(一審被告)が、控訴人(一審原告)の営業秘密である本件各文書の不正開示行為等につき重大な過失により知らないで、当該各文書を取得等したか否か。

 

裁判所の判断(抜粋)

不競法2条1項8号所定の「重大な過失」とは、取引上要求される注意義務を尽くせば、容易に不正開示行為等が判明するにもかかわらず、その義務に違反する場合をいうものと解すべきである。被控訴人が、本件情報の記載された本件各文書を取得するに当たって、本件各文書の内容がそれを被控訴人が自社の製品に取り入れるなどした場合に控訴人に深刻な不利益を生じさせるようなものであることは、不正開示行為等であることについて重大な疑念を抱いて調査確認すべき取引上の注意義務が発生することを根拠付ける要素の1つとなり得る。これに対し、本件各文書が通常の営業活動の中で取得されたものであることは、不正開示行為等であることについて重大な疑念を抱いて調査確認すべき取引上の注意義務の発生を妨げる事実に該当すると解される。
 よって、本件各文書の内容がそれを被控訴人が自社の製品に取り入れるなどした場合に控訴人に深刻な不利益を生じさせるようなものとは認められないこと、本件各文書が通常の営業活動の中で取得されたものであることは、被控訴人が不正開示行為等を重大な過失により知らなかったことと関係がないとはいえず、控訴人の主張は採用できない。

 ・・・、被控訴人は、本件各文書のConfidentialの記載から、その取得に当たって、法的問題がないのか確認すべきであった旨主張する。
 しかしながら、被控訴人が、本件各文書を取得するに当たり、本件各文書のConfidentialの記載以外に、本件各文書の保有者から、本件情報を秘密情報として扱うように指示されたり、秘密保持契約の締結を求められたり、あるいは、報酬や利益と引換えに本件各文書を得たなど、本件情報が秘密情報であることを疑うべき事実があったことを認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件各文書のConfidentialの記載のみをもって、被控訴人において、本件各文書の取得に当たって、不正開示行為等であることについて重大な疑念を抱き、保有者に対し法的問題がないのかを問合せるなどして調査確認すべき取引上の注意義務があったとまではいえないから、控訴人の主張は採用できない。