リブーター事件

裁判所 知財高裁
判決日 2019年05月30日
事件名 リブーター事件
キーワード

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着目点 審決は、「リブーター」は特定の観念を生じない一種の造語というべきものであると判断したが、多数の証拠により、当業者における「リブーター」の理解を認定した例
事件番号 平成30年(行ケ)10176号

判決のポイント

争 点

再起動器を含む電源制御装置に「リブーター」(標準文字)を用いることは、商標法3条1項3号に該当するか。

 

裁判所の判断

(1) 前記1のとおり,「リブート」は,「reboot」という英語を片仮名で表した語であるところ,「reboot」は,再起動するという意味の動詞であり(当裁判所に顕著な事実),また,「リブート」は,コンピュータなどを再起動することを意味する語として,各種の用語辞典(用語事典)に掲載されており,さらに,多くの雑誌やウェブサイト,さらには公開特許公報にも,上記の意味で使用されていることからすると,「リブート」という語は,再起動することを意味する普通名称であると認められる。そして,前記1(4)で認定した事実からすると,情報・通信の技術分野では,英語を片仮名で表した言葉が非常に多く存在すること,一般的に,英語の動詞の語尾に「er」,「or」等を付することにより,当該動詞が表す動作を行う装置等を意味する名詞となり,「エディタ」,「エンコーダ」,「カウンタ」,「デコーダ」,「プリンタ」,「プロセッサ」等,動詞を名詞化した語も多数存在することが認められるから,情報・通信の技術分野に属する者は,「リブーター」から,「reboot」の語尾に「er」を付した語である「rebooter」を容易に思い浮かべるものと認められる。

さらに,前記1(2),(3)で認定した各事実からすると,コンピュータやルーター等の機器を再起動する装置の需要があり,実際にそのような装置が販売されていることが認められるところ,前記1(2)のとおり,このような再起動装置を「リブーター」又は「リブータ」と呼ぶ例があることが認められる。これに対し,本件証拠上,「リブーター」の語が,他の意味を有するものとして使用されているという事実は認められない。

なお,前記1(4)ウ,エで認定したウェブサイトの記載によると,情報・通信の技術分野においては,英語を片仮名表記した場合は,語尾の長音符号を省く慣例があるものと認められるから,語尾の長音符号を有するか否かで別の語になるということはできず,上記の「リブータ」も「リブーター」も同一の語であるということができる。

以上からすると,情報・通信の技術分野においては,通常,「rebooter」及びこれを片仮名で表した「リブーター」は,再起動をする装置と理解されるものというべきである。

したがって,「リブーター」は,再起動装置の品質,用途を普通に用いられる方法で表示する語と認められるから,指定商品が再起動装置又は再起動機能を有する電源制御装置である場合は,本件商標は,商標法3条1項3号の商標に該当するというべきである。

一方,再起動機能を有さない電源制御装置が指定商品である場合は,本件商標は,同号の商標には該当しない。