対流形石油ストーブ事件

裁判所 知財高裁
判決日 2020年02月12日
事件名 対流形石油ストーブ事件
キーワード

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着目点 石油ストーブの燃焼時に現れる3つの略輪状の部分は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されたものか。
事件番号 令和元年(行ケ)10125号

判決のポイント

争 点

立体的形状からなる商標の商標法3条1項3号該当性

 

裁判所の判断

以上からすると,本願商標は,需要者及び取引者に,熱の放出による石油ストーブ本来の暖房効果に加え,視覚的にも暖房効果を高めることを目的として採択され商品の立体的形状の一類型を表示したものと認識させるものであると判断するのが相当である。

また,本願形状は,当該石油ストーブが使用(燃焼)中であることを示す一面も有している。

そうすると,本願形状は,需要者及び取引者において,商品の機能又は美感上の理由により採用されたものと予測し得る範囲のものであって,同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものと判断するのが相当であり,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者及び取引者は,単に商品の機能又は美感を発揮するために採用されたものと理解するにとどまり,単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものであるから,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものである。

(イ) また,本願形状は,原告の有する原告特許に係る発明の技術的範囲に含まれる原告特許形状とその位置及び形状が近似するから,本願商標の登録を認めることは,特許権を,その存続期間を超えて,半永久的に特定の者に独占させる結果を生じさせることになるため,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するものであるといえる。

(ウ) したがって,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとした本件審決の判断に誤りはない。