電子記録債権の決済方法事件
裁判所 | 知財高裁 |
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判決日 | 2020年06月18日 |
事件名 | 電子記録債権の決済方法事件 |
キーワード | |
着目点 | 電子記録債権の決済方法に係る発明が、全体として、「自然法則を利用した」技術的思想の創作に該当しないと判断された例 |
事件番号 | 令和元年(行ケ)10110号 |
判決のポイント
争 点
本願発明の発明該当性
裁判所の判断
(ウ) 以上によれば,本願発明は,電子記録債権を用いた決済方法において,電子記録債権の額に応じた金額を債権者の口座に振り込むとともに,割引料相当料を債務者の口座から引き落とすことを,課題を解決するための技術的手段の構成とし,これにより,割引料負担を債務者に求めるという下請法の運用基準の改訂に対応し,割引料を負担する主体を債務者とすることで,割引困難な債権の発生を効果的に抑制することができるという効果を奏するとするものであるから,本願発明の技術的意義は,電子記録債権の割引における割引料を債務者負担としたことに尽きるというべきである。
イ 前記アで認定した技術的課題,その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義を総合して検討すれば,本願発明の技術的意義は,電子記録債権を用いた決済に関して,電子記録債権の割引の際の手数料を債務者の負担としたことにあるといえるから,本願発明の本質は,専ら取引決済についての人為的な取り決めそのものに向けられたものであると認められる。
したがって,本願発明は,その本質が専ら人為的な取り決めそのものに向けられているものであり,自然界の現象や秩序について成立している科学的法則を利用するものではないから,全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作には該当しない。
以上によれば,本願発明は,特許法2条1項に規定する「発明」に該当しないものである。