読取装置事件

裁判所 知財高裁
判決日 2021年05月20日
事件名 読取装置事件
キーワード

着目点 引用文献に記載された装置からモジュールを取り出して引用発明を認定することは認められないとした事例
事件番号 令和2年(行ケ)10102号等

判決のポイント

対象特許

【請求項1】

 物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって,

 前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと,

 上向きに開口した筺体内に設けられ,前記アンテナを収容し,前記物品を囲み,該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と,

を備え,

 前記筺体および前記シールド部が上向きに開口した状態で,前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。

 

※左図は、本件発明。中央及び右図は引例

        

 

争 点

進歩性の判断

裁判所の判断

・・・当業者は,甲1発明においては,「読取り/書込みデバイス102」の「防壁」が外部への電波の漏えい又は干渉を防止するものであると理解すると認められる。

(エ) そうすると,甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」は,「防壁」が存在しない状態で単独に用いられること,すなわち,「読取り/書込みモジュール200」だけで電波の漏えい又は干渉を防止することは想定されていないものと認められるところ,外部への電波の漏えい又は干渉を防止する機能は,本件発明と対比されるべき「読取装置」には欠かせないものであるから,甲1発明の「読取り/書込みモジュール200」が単体で,本件発明と対比されるべき「読取装置」であると認めることはできない。

エ 以上によると,本件審決のように甲1発明2を認定して,これを本件発明と対比することはできないというべきである。