KANGOL事件
裁判所 | 知財高裁 |
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判決日 | 2021年06月16日 |
事件名 | KANGOL事件 |
キーワード | |
着目点 | 取扱商品の棲み分けについての合意がある場合に、出所の誤認は生じるかについて判断された例 |
事件番号 | 令和2年(行ケ)10148号 |
判決のポイント
対象商標
引用商標
KANGOL (標準文字)
争 点
引用商標の商標権者との間で取扱い商品の棲み分けについての合意がある場合に、出所の誤認は生じるか。
裁判所の判断
原告は,原告とカンゴール社との間で本件契約が締結され,その後,原告とカンゴール社との間で取扱商品及び役務に係る棲み分けがされてきたことを,現実的かつ具体的な取引の実情として重視すべきである旨主張する。
しかしながら,本件契約それ自体は,原告とカンゴール社との間における個別の合意にすぎないから,同契約を締結した事実や,同契約に基づいて原告が本願商標を継続的に使用している事実は,商標の類否判断において考慮し得る一般的,恒常的な取引の実情(最高裁昭和47年(行ツ)第33号同49年4月25日第一小法廷判決・審決取消訴訟判決集昭和49年443頁参照)には当たらないというべきである。
また,原告が提出する証拠(甲30ないし49)は,原告が,本願商標を用いて衣類等を提供してきたことを裏付けるものであるとはいえても,帽子(及びそれに係る役務)とそれ以外の衣類(及びそれに係る役務)とで,原告が主張するような棲み分けがされ,それが需要者に認識されていることを認めるに足りるものではなく,むしろ,原告が,本願商標を用いて帽子を販売している例さえ存在することが認められる。
したがって,原告の主張は,採用することができない。