Ujicha事件
裁判所 | 知財高裁 |
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判決日 | 2021年03月30日 |
事件名 | Ujicha事件 |
キーワード | |
着目点 | 地域団体商標を有していることは、当然に商標法3条1項3号に該当しないということにはならないと判示した例 |
事件番号 | 令和2年(行ケ)10133号 |
判決のポイント
対象商標
Ujicha(標準文字)
※なお、原告は、「宇治茶」について地域団体商標を有している。
争 点
商標法3条1項3号該当性について
裁判所の判断
広辞苑第7版(乙3,2018年1月12日発行)によれば,「宇治茶」は,「京都府宇治地方から産出する茶。室町時代から茶道で賞美。」である とされ,「新茶業全書」(乙4,昭和63年10月1日発行),「茶道辞典」 (乙5,昭和54年9月20日発行),「新・食品事典11 水・飲料」(乙6,1992年10月20日発行)といった書籍においても,「宇治茶」が,京都府宇治地方から産出する茶である旨の記載がある。
また,多数のウェブサイトにおいて,本願の指定商品又は関連する商品に関して,「宇治茶」,「UJICHA」,「Ujicha」,「Uji c ha」,「UJI-CHA」あるいは「宇治」,「Uji」,「“Uji”」,「UJI」といった文字を包装に表示したものが掲載されている(乙7ないし29)。 そうすると,本願商標は,その指定商品との関係において,「京都府宇治 地方で製造又は販売する茶」であることを認識,理解させるにすぎず,単に 商品の産地,販売地,品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示するものであって,商標法3条1項3号に該当するものというべきである。
⑶ 原告の主張について
ア 原告は,漢字表記の「宇治茶」は,「京都府宇治地方から産出する茶」という意味を持つほか,本件地域団体商標の存在により,商品に付された場合,原告の業務に係る商品であることを示す出所識別機能を有すると主張する。
しかし,商標法7条の2は,地域名と商品名からなる商標は自他識別力を有しないため,原則として同法3条1項3号又は6号に該当すると解されることから,一定の要件を備えた場合に,「第3条の規定(同条第1項 1号又は第2号に係る場合を除く。)にかかわらず,」地域団体商標の商標登録を受けることができるとしているものであり,地域団体商標の登録を受けたからといって,当然に同法3条1項3号に該当しない(出所識別11 機能を有する)ことになるわけではないことは明らかである。