護岸の方法事件

裁判所 知財高裁
判決日 2017年09月27日
事件名 護岸の方法事件
キーワード 明確性要件
着目点 大きめの石や岩という記載が不明確であると判断された例
事件番号 平成28年(行ケ)10237号
判決のポイント

争点

「付近にある中で大きめの石や岩」との記載の明確性

裁判所の判断

一般に,「○○め」との語は,「形容詞の語幹に付いて,多少その性質や傾向をもつことを表す」接尾語である(大辞林第三版)から,「大きめ」とは,「大きい」という性質や傾向を有することを表す語であると解される。そうすると,請求項1の「付近にある中で大きめの石や岩」とは,河川の特定の場所(本願の発明に係る護岸を施す場所)において,付近にある石や岩のうち,「大きい」という性質や傾向を有する石や岩のことであると理解することができる。しかしながら,「大きめ」という語自体は,「大きい」という性質や傾向をどの程度有するのかを何ら特定するものではないから,結局のところ,どの程度の大きさをもって「大きめ」とすべきかは,「大きめ」という語自体からは判然としないものというほかない。また,請求項1のその他の記載を参酌してみても,「大きい」という性質や傾向をどの程度有していれば,請求項1にいう「大きめ」に該当するのかを理解し得る手掛かりは見当たらない。

・・・本願明細書に記載され,又は図示されたその他の事項を参酌しても,「大きめの石や岩」又は「付近にある中で大きめの石や岩」との記載の意味を理解し得る手掛かりは見当たらない。加えて,請求項1の「大きめの石や岩」又は「付近にある中で大きめの石や岩」との記載の意味について,上記アのような理解とは異なる理解ができることを根拠付けるような技術常識を認めるに足りる証拠もない。

したがって,本願の請求項1における「付近にある中で大きめの石や岩」との記載は,本願明細書の記載を参酌してみても,明確であると認められるものではない。

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