GUZZILLA事件

裁判所 知財高裁
判決日 2018年06月12日
事件名 GUZZILLA事件
キーワード 商標混同のおそれ
着目点 「GUZZILLA」が「GODZILLA」の類似性、需要者の共通性ついて判断した事例
事件番号 平成29年(行ケ)10214号
判決のポイント

争 点  

 本件商標を本件指定商品に使用しても,その取引者及び需要者において,当該商品が,原告や原告と緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるか。

裁判所の判断(抜粋)

(2) 商標の類似性の程度

ア 外観

 ・・・本件商標と引用商標の外観とを対比すると,いずれも8文字の欧文字からなり,語頭の「G」と語尾の5文字「ZILLA」を共通にする。2文字目において,本件商標は「U」から成るのに対し,引用商標は「O」から成るが,本件商標において「U」と3文字目の「Z」の上端は結合し,やや縦長の太文字で表されているから,見誤るおそれがある。・・・

 そうすると,本件商標と引用商標とは,外観において相紛らわしい点を含むものということができる。

イ 称呼

 ・・・本件商標と引用商標の称呼を対比すると,語頭音を除く称呼は「ジラ」と共通する。また,語頭音は,・・・本件商標における「グ」と「ガ」の中間音と,引用商標における「ゴ」と「ガ」の中間音とは,いずれも子音を共通にし,母音も近似する。

 したがって,本件商標と引用商標とは,称呼において相紛らわしいものというべきである。

ウ 観念

 本件商標からは特定の観念が生じず,引用商標からは怪獣映画に登場する怪獣「ゴジラ」との観念が生じる。

エ 本件商標と引用商標の類似性

 以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼において相紛らわしいものであって,外観においても相紛らわしい点を含むものということができる。

(3) 引用商標の周知著名性及び独創性の程度

ア 怪獣映画に登場する怪獣である「ゴジラ」は,原告によって創作されたものであり(甲4),「ゴジラ」が著名であることは当事者間に争いがない。・・・

エ 以上によれば,引用商標は周知著名であって,その独創性の程度も高いというべきである。

(4) 商品の関連性の程度,取引者及び需要者の共通性

ア 商品の関連性の程度

 本件指定商品は,第7類「鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,農業用機械器具,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置」である。本件指定商品には,専門的・職業的な分野において使用される機械器具が含まれる。また,これに加えて,本件指定商品のうち,「荷役機械器具」には,油圧式ジャッキ,電動ジャッキ,チェーンブロック,ウインチが,「農業用機械器具」には,刈払機,電動式高枝ハサミ,ヘッジトリマ,草刈機が,含まれる・・・。

 これに対し,原告の主な業務は,映画の制作・配給,演劇の制作・興行,不動産経営等のほか,キャラクター商品等の企画・制作・販売・賃貸,著作権・商品化権・商標権その他の知的財産権の取得・使用・利用許諾その他の管理であり(甲135),多角化している。原告は,百社近くの企業に対し,引用商標の使用を許諾しているところ,その対象商品は,人形やぬいぐるみなどの玩具,文房具,衣料品,食料品,雑貨等であるなど,多岐にわたる・・・。

 本件指定商品のうち専門的・職業的な分野において使用される機械器具と,原告が引用商標の使用を許諾した玩具,文房具,衣料品,食料品,雑貨等とは、・・・性質,用途及び目的における関連性の程度は高くない。

 一方,・・・,本件指定商品に含まれる油圧式ジャッキ,電動ジャッキ,チェーンブロック,ウインチ,刈払機,電動式高枝ハサミ,ヘッジトリマ,草刈機等と,原告が引用商標の使用を許諾した玩具,雑貨等とは,ホームセンター等の店舗やオンラインショッピング,テレビショッピングにおいて,一般消費者に比較的安価で販売され得るものであり,日常生活で,一般消費者によって使用されるなど,性質,用途又は目的において一定の関連性を有しているといわざるを得ない。

 よって,本件指定商品に含まれる商品の中には,原告の業務に係る商品と比較した場合,性質,用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれているというべきである。

イ 取引者及び需要者の共通性

 本件指定商品に含まれる前記油圧式ジャッキ等の,比較的小型で,操作方法も比較的単純な荷役機械器具及び農業用機械器具の需要者は一般消費者であり,その取引者は,これらの器具の製造販売や小売り等を行う者である。また,原告が引用商標の使用を許諾した玩具,雑貨等の需要者は一般消費者であり,その取引者は,これらの商品の製造販売や小売り等を行う者である。本件指定商品の取引者及び需要者の中には,原告の業務に係る商品の取引者及び需要者と共通する者が含まれる。そして,商品の性質,用途又は目的からすれば,これら共通する取引者及び需要者は,商品の性能や品質のみを重視するということはできず,商品に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮して取引を行うというべきである。

(5) 出所混同のおそれ

 以上のとおり,「混同を生じるおそれ」の有無を判断するに当たっての各事情について,取引の実情などに照らして考慮すれば,本件指定商品に含まれる専門的・職業的な分野において使用される機械器具と,原告の業務にかかる商品との関連性の程度は高くない。

 しかし,本件商標と引用商標とは,称呼において相紛らわしいものであって,外観においても相紛らわしい点を含む。また,引用商標は周知著名であって,その独創性の程度も高い。さらに,原告の業務は多角化しており,本件指定商品に含まれる商品の中には,原告の業務に係る商品と比較した場合,性質,用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれる。加えて,これらの商品の取引者及び需要者と,原告の業務に係る商品の取引者及び需要者とは共通し,これらの取引者及び需要者は,取引の際に,商品の性能や品質のみではなく,商品に付された商標に表れる業務上の信用をも考慮して取引を行うものということができる。

 そうすると,本件指定商品に含まれる商品の中には,本件商標を使用したときに,当該商品が原告又は原告との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものが含まれるといわざるを得ない。

 

*特許庁の審決においては、下記のように判断されている。

(2)本件商標と引用商標との類否について

 本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。

(3)出所の混同について

 引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時には、既に請求人の制作に係る怪獣映画に登場する怪獣の名称として広く認識され、著名となっており、それは査定時においても継続していたと認められるものである。

 また、本件商標の指定商品は、第7類に属する建築土木機械器具及び廃棄物関連の装置であって、専門的な特殊な機械器具装置といえるところ、その需要者は、建設機械メーカーや建築・土木従事者などである。一方、引用商標が使用されている映画及びゴジラのキャラクター商品及び役務の需要者は、広汎な一般消費者であるから、その取り扱いに係る商品及び役務において、取引者、需要者の範囲が異なるものであり、商品の目的、品質が相違し、生産、販売部門も同一であるとはいえない。

 してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

TOP